ぽんこつで無責任な私の後悔

私が二人目を出産して数日後、父が高次脳機能障害を負った。
酔っぱらって階段から落ちたのだ。

父は営業職で、お酒を飲むのも仕事のうちだった。
どんなに酔っていても、きちんと帰宅し、背広を整え、身支度を済ませてから寝る人。 そんな父が酔って階段から落ちるなんて、想像もしなかった。
「これが歳をとるということなのか…」と、ぼんやり思った。

病院から持ち帰った父の衣服は血だらけだった。

妊娠後期、ほぼ寝たきりだった私を気遣い、母は仕事をしながら遠い私の家へ通い、家事や育児を手伝ってくれていた。
母はとにかくパワフルな人だった。

そんな母が、父の事故を境にゾンビのようになってしまった。

父の高次脳機能障害は深刻で、スプーンを見ても何かわからない。 長年運動していた父は体力だけはあり、言語や記憶に障害があっても、四肢は元気。 その結果、病院を脱走しまくった。

母はそんな父の看病や入院手続きをしながら、出産直後の私と乳幼児の世話もこなしていた。 父方の叔母といとこが支えてくれたのが唯一の救いだった。

それでも心身ともに疲れ果てた母の容姿はゾンビのようで申し訳なく思った。

その頃母は、よくこう言っていた。

「私が孫の世話で家を空けがちだったから、寂しかったのね。 だから久々の飲み会ではしゃいじゃったんだわ。」

そんなある日、私は大きな失敗をした。

父の仕事関係者や友人に連絡を取るため、父の携帯を確認していたときのこと。なにやら怪しいメールを見つけた。

送り主の名前は男性。 でも、やり取りの内容はどう見ても男女の親密な会話だった。

私は軽い気持ちで母に報告。 母も軽く受け止めているように見えた。

母は元々、父が妻子持ちだった頃に略奪婚(穏便な)をしているし、 営業職だった父の遊び癖も知っていた。 さらに、母方の祖父には妾がいたとも聞いていた。

だから、「母は男女の関係に寛容な人」と勝手に思い込んでいた。

しかし、これが大きな間違いだった。

この日から、私の生活は一変した。